「朱里のいたところではもっと豊かだったのでしょう?ごめんなさいね」


「ううん、いーのいーの!ちょっとしたダイエットにもなるし!」


「だいえ、っと?」


「……うん、まぁ気にしないで」



キョトン、と輝く緋色の瞳を丸くして首を傾げる茜。横文字文化のある言葉を使わないように気をつけねば。



「神社かー、あたしの家も神社なんだよ!比嘉神社っていうの」



あたしの名字が比嘉だから比嘉神社なのか比嘉神社だからあたしの名字が比嘉なのか。これは結構前から気になってるところである。


じーさまに聞いても昔から比嘉神社の比嘉さんだったみたいでどっちが先かわからないって言ってたし。これって卵が先か鶏が先かってやつだよね。



「比嘉神社?ここと音が似てるのね」


「ここの神社にも名前があるの?」



てっきりないと思ってたんだけど……いやほら、昔のイメージ的に。


目をパチクリするあたしに茜は微笑む。



「ちゃんとした名前というわけではないの。ただそう呼ばれてるってだけで。ここは『お彼岸神社』って言われてるわ」


「おひがん?」



ひがんって…悲願、のことかな。神社ってお参りして祈るところだし。


頭に「?」を出していたら茜がどこか悪戯げな表情を浮かべて「あの世の彼岸のことよ」と教えてくれた。あ、そっちの彼岸ね。