清二さんがこんな風に言うのって、やっぱり茜の目のことが理由にあるのかな。ぼんやりと茜の瞳を思い出す。
あたしにとって茜の目はとても綺麗なものだと思うんだけど、それってやっぱり現代の日本では当たり前のものだからだよね。
ここでは黒とか茶色とか無難な色の瞳ばかりでそれが普通で。人は自分とは違うものを恐れたり嫌悪したりするから。
あんなに綺麗なのに…価値観の違いってやつなのかなぁ。
「あら。朱里、出ていたのね」
す、と軽い音と一緒に襖が開かれて茜が顔を覗かせる。
「着物は…よかった、ちゃんとぴったりみたい」
「あ、うん。大丈夫。着物ありがとう。お風呂もありがとうございました」
ぺこりと頭を下げると茜の「気にしないで」という声が上から聞こえた。
「そろそろ夕餉にしようと思うのだけど、朱里はお腹空いてるかしら?」
「そういえば…」
何も食べてないと思ったところであたしのお腹から盛大な音が鳴った。……これほどまでに恥ずかしいと思ったことはないんじゃないかと思うよ。
空気を読まなさすぎる自分のお腹に真っ赤になりながら「お腹、空いてる…」と言うとクスクスと楽しげに笑みをこぼす茜。清二さんも肩が揺れている。……もう、堪えるぐらいならいっそのこと思いっきり笑って下さい。


