そりゃもう相手にすんのも面倒になるわ、と言われてあたしは言葉を詰まらせた。
というか言葉を詰まらせたどころじゃないよ。あたしのハートには刃と化した紗季の言葉がグッサグッサと刺さってるよ。
「いい加減、あんたもところ構わず彼氏作るの止めたら?」
「何その言い方!」
まるであたしが節操なく彼氏作りまくってたぶらかしてウハウハしてるみたいじゃん!
男の子みんなカモーンって言ってるみたいじゃん!?あたしゃそんな性格の歪んだ悪女じゃないよ!
しかも、
「誰でも彼氏にしてるわけじゃないしっ」
「へぇ?じゃあどういう人たちを彼氏にしてきたの?」
ほぉら、お姉さんに教えてみなさいとばかりの顔。
紗季のがよっぽど悪女に見えるのはなぜだろう。だが美人だからか似合ってるのが腹立たしい。
「そ、そりゃまぁ、こう、ビビッときたっていうか……」
この人いいなぁ〜とか素敵だなぁ〜とか。かっこいいなぁ〜、とか?
ちゃんとトキメキを感じた人にしか告白してないよ。あと彼女がいないというのが前提条件であり絶対条件。
さすがに彼女がいるのに横取りしようなんて下衆いマネ、しようと思っても小心者なあたしには無理だ。


