彼岸の杜




あたしの目の前に広がったのは現代社会では絶対にありえないような古風な町並みだった。


ううん、町並みなんてものじゃない。これは普段落書きしかしない歴史の教科書に載っていたものと丸っきり同じ。



「村っすね……」



つぎはぎが目立つけど年季の入っているためか馴染んでいる着古した着物を纏い、下は粗末な草履で子どもに至っては素足の子もいる。


自然に囲まれて自然を育てている自給自足の生活をしているんだと一目見て分かる。


あ、遠目だけどあれ竈じゃない?あはは、本物の竈とか初めて見たわ。うちの歴史の先生が見たら喜びすぎて発狂しそう。


悲しいぐらい予想通りの景色にあたしはへなへなと座り込んでしまった。



「朱里?どうしたの?」


「……あのね、あたしここの人じゃないみたい」



あはは、と乾いた笑いをこぼしながらのろのろと顔を上げると茜と清二さんの姿が。


あぁ、2人を見たときにすこぶる着物が似合ってると思ったのも納得だ。そうだよね、この時代なら当たり前の格好だもんね。


むしろここじゃ、あたしの格好のがおかしいんだ。髪色も然り。当たり前の常識や知識も。