彼岸の杜




あっれ、おっかしいなぁ。今かなーりおかしい言葉が耳に入ってきた。


あたしってば頭だけじゃなくて耳までおかしくなっちゃったみたいだ。



「ごめん茜、今なんか言った?」


「えっと、でんわってなぁに?」


「………」



心底不思議そうな顔をして首を傾げている姿はあたしをからかっているようには見えない。


というか普通に考えて電話なんて日常的にあるものを「何?」なんて無理のあるボケかまさないでしょ。


かまさない、はず……



「じゃ、じゃあケータイは?スマホは?」


「けぇ、たいに、すまほ?不思議な言葉ね」



清二は知ってる?と聞いた茜に首を振る清二さん。


………いったいどういうことですか?



あたしは勢いよく立ち上がった。それはもう反射的なスピードで効果音つくぐらいにバッと。


「まだ安静にしていなきゃ」と慌てたような驚いたような声が後ろで聞こえるけどそんなの知ったことじゃない。


神様お願いです。嘘または夢またはあたしの妄想だと言ってください。


バタバタとあわただしく扉を引いて靴を履くことさえせずにあたしは外に飛び出た。



「………なんじゃこりゃ」