「あのー、つかぬ事を聞きますけど…ここはどこですか?」
自分でも間抜けなことを言っている自覚は十二分にある。自分のいる場所が分からないとかあたしは認知症かっての。
目の前の美男美女2人もお互いに顔を合わせて困惑気味だ。まぁ当たり前だよね。
「覚えていないの?」
「んー……覚えてると言えば家の蔵にいたことぐらいで」
そこからたまたま見つけた石を手に取って、何が何やら分からないうちに目も開けてられないぐらいの光が目の前を塗り潰していって、気がついたらここに……
なんかこういうの、前に読んだことのある漫画みたいだな。それで次に目が覚めたとき、ついた先はなんと異世界だった!みたいな。
あれ、時空を超えたんだっけ?過去……じゃなくて未来だったかも?よく覚えてないけどそんな感じの話だった。
「私があなたを見つけたのは…あ、今さらだけれどまだ名前を聞いていなかったわね。私のことは茜(あかね)と呼んで?」
「あ、あたしは朱里」
「あかり……『朱』色の『里』で朱里?とても綺麗な名前ね」


