彼岸の杜





「綺麗……」



思わずポツリとこぼした本音に、彼女はその宝石のような緋色の瞳を丸くした。


本物のルビーみたい。これカラコン?なわけないか。自前でこの瞳とかいいな。


神様不公平だろ。あたしにもこの美しさの1割でも分けろっての。



「ふふ……」



柔らかくクスクスと笑みをこぼしている女の人にあたしは見惚れてしまった。



「ありがとう。この瞳、私の大切なものなの。褒めてくれてとても嬉しい」


「あ、いえそんな!!」



あたしはただ思ってることがポロリとこぼれてしまっただけで決してお礼を言われるなんてことは……!


というかあたし自身今現在何が起こっているのかちんぷんかんぷんだけどあたしを(多分)助けてくれたのはこの人たちだ。


なのにお礼も言わずに初対面で「イケメーン!」やら「ちょー綺麗な瞳ー!」やら考えてたとかめちゃくちゃ失礼じゃない?!うわっ、数分前のあたし爆死しろっ。