慌てて拾い上げて箱の蓋を開ける。いったい何が入っているんだろうと少しワクワクしながら覗いてみると。



「石………?」



柔らかな布にくるまれるようにちょこんあったのは綺麗な赤い石。ううん、赤って言うより、なんて言うか……もっと明るい感じの色。


朱色って感じでもなさそうだし、見たことないけどこれが緋色って言うのかな?すごくきれー…まるで宝石みたい。



「って、こんな神社にこんな大きい宝石なんてあるわけないか」



古いっていっても全国的に有名なわけでもないし。こんな大きな宝石なんてあったらそれなりに話とかありそうだし。


あははは、と思いながらそれを手にとるとじんわりと微かに熱を帯びているように感じた。


あたしの手が冷たいから?いやいや、だからと言って石より冷たいとかないだろ、と思っていると急に目の前が眩しくなってあたしの意識はその光にのまれてしまった。








そしてあたしは出逢う


心から尊敬し、憧れて、見習いたいと思った人に


心が震えるほど美しく儚く切なく、悲しい恋物語に



全ては、彼岸花の美しく咲き誇る、その村で―――