彼岸の杜




「は?あんたどんな心境の変化よ。とうとう頭どうかしちゃった?」


「会って最初に言うことがそれっすか」



ぶれない…ぶれなさすぎてあたしゃ涙が出そうだよ。もちろんこれは感激とかじゃなくて悲しみからくるものである。久しぶりに会ったのに切ない。


あ、でも紗季らしいっちゃらしいのか。果たしてこれは喜ぶべきところなのか…いや、だがしかしぶれないその辛辣さにあたしの心はブレイク状態。ちょっとぐらいは、こう、優しい言葉が欲しいよね。



「ちょっと転機があってね。これからは自分を磨くことに力を注ごうと思って」


「あら、この前振られた彼氏に対する当てつけ?」


「あはは、そんなの関係ないよ~。それに恋愛『ごっこ』はしばらく休業」



それよりやりたいことがいっぱいあるからさ、と言えば紗季は驚いたように目を見張った。おおう、こんな紗季さんは珍しいな。どうしたんだ。


滅多にないチャンスなので写真に収めようとしたけどよくよく考えれば後で倍返しになって返ってくることは目に見えていたのでやめておいた。内緒で撮る方法がないものか。あったら教えてほしい。



「なんか……大きくなったわね」


「え!?それって太ったってこと?!」