彼岸の杜




そのまま遠ざかっていく足音にあたしはガックリと肩を落とした。


ま、いいんだけどね。お母さんの能天気ぶりって言うの?天然ぶりか?そんなのには慣れてるし。


はぁ、と人知れずため息をこぼしてあたしは蔵の中を見回す。


そういえば、昔は「宝探しだー!」とか言ってこの蔵の中探検したことあったな。


まぁ探検って言ってもどんなものがあるのか片っ端から箱の中身覗いただけだけど。そのあと当然怒られた記憶は忘れられない。


あのときはじーさまがマジギレして超絶怖かった。あれ以上怒られたことってないかも。



「確かこのへんに……」



そうそう。あたしが気に入ったやつがあったんだよね。なんかよく分からない大皿みたいなやつ。


青磁色のグラデーションが綺麗なやつ。小さな頃は飽きもせず眺めてたっけ。



「ないなー……って、ぉわ!」



背伸びして探していると棚にぶつかったのか上から小さな古い木箱が落ちてきた。



「なんだろ、この箱……」



こんなのうちの蔵にあったっけ?ってそれはいいからまずは中身の確認!これで中身とか壊れてたらじーさまに怒られちゃう!!