彼岸の杜




えへへ、と笑いをこぼしながら照れた顔を隠すようにうつむく。


高望みかな?って思うけど憧れちゃったんだから仕方ない。あたしはあたしにできることから始めてみて、少しずつでも茜みたいに強い心を持った人に近づきたい。


これはあたしの意思で決めたことだから諦めるつもりもなければ、このための努力を怠るつもりもない。



「あ、それでちょっとじーさまにお願いがあるんだけど…」



いそいそとポケットの中から出したのは蔵の中で見つけたあの緋色の石。茜が持っていた石でもある。実はあのあともずっと持っていました。



「これ、蔵の中にあったやつなんだけどあたしがもらってもいいかな?」


「蔵の、って朱里よ。今日一日それを持ち出していたのか?」



呆れたような顔をするじーさまにひえぇ、と内心涙をちょちょぎらせながらも「ごめんなさいっ」と体を小さくする。


蔵の中のものを勝手に持ち出しちゃいけないっていうのは小さいころに言い聞かせられていたし、実際に持ち出して友達に見せびらかしたときにしこたま怒られたのも覚えている。


もう絶対蔵の中のものには手を出さないって怒られながら涙ながらに誓ったのもばっちり覚えている。けど、



「これを見ると茜のことを思い出せるから…あたしが憧れて目指すって決めたものの戒めにしたいの。大切にするから!!」