じーさまの言っていた通り、あたしが今まで恋愛だと思ってしてきたことはしょせん『ごっこ』で子どものお遊びのようなものだ。
それが今ならはっきりわかる。ううん、本当はずっとわかってたけどそれを認めるのが嫌で見て見ぬふりをしていたんだ。認めるのが悔しかったし怖かった。認めちゃったらみんなとは違うんじゃないかって勝手に怖がってた。
でもそんな感情は無意味なんだって今ならわかるし、恋愛ごっこをしていたことも素直に受け入れることができる。
あたしは茜みたいに自分を犠牲にしてでも守りたい人ができたことがない。その人の大切なものを大切だと感じることができたこともない。
自分の感情を押し込めてまで、大切な人を最後まで想いやることなんてできなかった。
「今から考えてみるとね、すっごく些細なことなんだけど…あたしが小学生だったときにからかわれたことがあるの」
本当に小さいこと。あたしが普通の家の子どもじゃなくて、ただ神社の娘に生まれたってだけ。
家は他の子とは違って少し変わっていたかもしれないけどあたし自身は霊力があるわけでもなく特別な超能力を持っていたわけでもない。普通の家の子どもと同じ。
でも小さい子どもはその「少し」変わっていることでも悪気なく無邪気に人を傷つけることがある。
「だからってこの家に生まれてお父さんやお母さん、じーさまがあたしの家族だったことを嫌に思ったことなんて一度もないよ?でも…」


