ちょっと遅くなっちゃったやと急ぎ足で階段を駆け上がる。最後の一段を上がったときにあたしの髪がサラリと頬を撫でた。
んー、この髪見てお母さんたちはなんて言うかな。でも金茶色に染めたときお父さんもお母さんも何も言わなかったんだよね。その分じーさまがうるさかったんだけども。
「ただいまー」
ガラリと引き戸を開けると奥の方から聞こえる声。お、今日はお父さんもいるみたい。二日酔い大丈夫だったんだろうか。
じーさまの声は聞こえないけどいるのかな、とちょびっとドキドキしながら居間に向かう。
「ただいま」
「お帰り。あら、髪切ったの?色も変えたのね」
「あ、本当だ」
お母さんの言葉に顔を上げたお父さんは目を丸くしてから柔らかく微笑んだ。お母さんも笑顔であたしを見つめているものだからなんだか気恥ずかしい。
「えへへ、そうなの。変、かな…?」
あたしは肩の上で揺れる黒髪を一房摘まんでみせた。
「ふふ、全然変なんかじゃないわよ?よく似合ってるわ」
「あぁ、ずっと長い髪をしていたから印象もだいぶ違っていて新鮮だな。短い髪を似合ってる」
そこまで褒められて悪い気もするわけもなく。「少しもったいない気もするわねぇ」と言いながらあたしの髪を笑顔で撫でるお母さんにつられて頬が緩んだ。


