炎を閉じ込めたような、情熱を集めたような、彼岸花を映したような綺麗な透き通った緋色の石。茜の瞳と同じ、優しい色。
「あかね……」
あれから茜はどうなったんだろう?あの暗い森の中で一生を終えたんだろうか。清二さんは?茜がいなくなった村で最後まで生きることができたんだろうか。
気にはなるけど今のあたしにそれを確かめることなんてできない。あの時代のことも村のことも何もわからないし調べる手段もない。それがこんなに歯がゆいなんて…
「朱里―?」
「のわっ?!お、お母さん?」
感傷に浸っている中にいきなりドンドンと蔵の扉を叩く音とお母さんの声にびっくりして思わず声がひっくり返ってしまった。
そ、そういえば、あたしが向こうで過ごしてた時間って結構あったんだけどこっちはどのぐらいの時間が過ぎたんだろう。え、あたし向こうで少なくとも1週間はいたけど…つまりその間は行方不明だったってことだよね?蔵の中で。
冷静にそんなことを考えてみるとゾッとするというか、血の気が引くというか。だってだってお母さんたちはともかくじーさまとか考えるだけで…な、何を言われるんだ。ごくり。
「いい加減に出てきなさいよー?朝こもってから一度も出てないじゃない」
「……へ?」