彼岸の杜




朱里にはそれが必要じゃ、と締めくくってじーさまは箸を持った。


あたしはと言うとなんだか猛烈に怒りが湧いてきた。


何よその言い方!!恋愛『ごっこ』っ何さ!?


なんでじーさまにそんなこと言われなきゃならないのよ!!



「ごちそうさまっ」



もうごはんを食べる気もなくなってダンッと音をたてて立ち上がった。



「食器は静かに置きなさい」



冷静に浴びせかけられた言葉にまたしてもムカッとなる。


あたしはイラついたまま「ふんっ」とわざとらしくそっぽを向いて居間を飛び出した。


何さ何さっ、あんな言い方しちゃって!これだからじーさまはダメなんだよ!!


ムカムカイライラ、自分の気持ちを持て余してその勢いのまま外に出る。


こういうときにあたしがいつも行くところは決まっている。家の神社にある蔵だ。


うちの神社はそこそこ長い歴史を持っているらしくて古いものを置いておくための大きな蔵がそばに建っている。


あたしは迷わずそこに行って中から鍵をかけた。これがあるからいつもここにこもっちゃうんだよね。