彼岸の杜



その騒ぎを聞きつけたのか奥の方からも人が出てきてひとまず戸も開かれたので一命を取り留められた。まじでこれ冗談なく足がもげるかと…よい子はもう少し考えてからしましょう。


涙目のまま顔をあげて人々の中にいないかと探すと「朱里さん?」という声が聞こえて安堵した。



「清二さん!!」



どうしてここにいるんだと驚愕に目を見張りながらもそばに来てくれる清二さん。よかった。会えた…もしかしたら茜のこと考えすぎて身投げしたとか洒落にならないことも考えちゃってたから本当にホッとした。



「清二さん、これ」



茜からだとずっと握っていた巾着袋を取り出して手渡す。ずっと力を入れてたからちょっとどころじゃなくしわくちゃになっちゃって…あの、申し訳ない。


けど清二さんは少し驚いたように息をのんでから両手で大切そうに巾着を抱きしめて「ありがとう」と泣きそうな顔で噛みしめるように言った。


気づけばかなりの人…清二さんの家族でいいんだよね?があたしに注目してこそこそと何かを話している。なんか友好的とは言いにくい雰囲気だ…むしろ恐れられている?軽蔑にも似た視線じゃないか?


なぜ見ず知らずの人にそんな目で見られないといけないんだと思ったときに「髪が、」という単語が耳に入ってきた。髪が何?葉っぱでも付いてるのかな?髪に……髪!!


バッと頭に手をやればさらさらとした変わりのないあたしの髪だ。そう、金茶の。


そりゃあ恐れられるわ!と納得しながらも立ち上がる。うん、もう足の痛みもだいぶ引いたし平気そうだ。これは何かに巻き込まれないうちに退散した方がいい。あたしの中の勘がそう言っている!