彼岸の杜




大好きよ、という言葉がじんわりと心に入ってきて染み渡る。キラキラした秘密の宝物をもらったみたいで、嬉しくてたまらなくて、でも寂しくて、くすぐったくて悲しくて、幸せで…


そんなぐちゃぐちゃした頭の中でも素直な感情のままに茜にゆっくりと笑みを返す。あたしも茜のことが大好きだよって、ずっとずっと大切な人だよって伝わるように。


走ってきたときに傷ついたし、散々泣いて目も心なしか腫れてる感じがするし今だってみっともなくボロボロ涙は止まらないけど、そんなあたしを見て茜はいつものように柔らかな笑みを浮かべた。


遠くなって行く背中にどうしようもない感情があふれて叫びたくなる。納得なんてしてないし理不尽だって今でも思う。何もできなかった自分が不甲斐ない。これまでにないぐらいに自己嫌悪。ほんとに「なんで生きてるの?」って今言われたら確実に昇天する。


でもそんな思いはきっとあたしよりも清二さんの方がずっと強く感じているはずだ。あたしよりも茜と長い時間を一緒に過ごしてお互いを想いあって…あたしには触れられない2人だけの絆があるもん。あたしなんか到底及ばない。


拳に力を入れれば主張する巾着袋にあたしは振り返って駆け出した。一刻も早く茜から最後にお願いされたことを叶えたくて。