彼岸の杜





「朱里よ、お前はそんなに男と付き合ってどうするんじゃ」


「べ、別に、どうするとかないよ。ただ、」


「ただ?」



緊迫した雰囲気の中お母さんは我関せず。くっ、ちょっとは子どもの味方をしてほしい!!


ただでさえ怖いじーさまなんだから、そのじーさまが怒ったところと言ったら紗季なんてかわいいもの。


うぅ……実の娘でもあるお母さんなら何か静め方知ってんでしょ!助けてよっ!


なんて心の中で叫ぶけど所詮は心の中のこと。都合よく助けてくれるわけもなく。



「ただ…周りの子たちだってみんな彼氏とか普通にいるし……あたしだって彼氏つくったっていいじゃん」



彼氏のいる友達はみんな恋愛の力って言うのかな?すごくキラキラしててかわいくて。


あたしだってあんな風にキラキラしたいって思うのはいけないこと?あんな風にかわいくなりたいって思うのはダメなの?



「恋愛がいかんと言うわけじゃない。ただ朱里のそれはただの恋愛『ごっこ』じゃ。人を羨み、周りに流されるまま似合わない格好をして自分を貶めるな。

他人に何かを求める前に、まず自分磨きをせえ」