新鮮な空気でも吸ってこんがらがった頭をリフレッシュさせようとちょっとだけ外に出る。自然と恋しくなって彼岸花の咲いている裏の方に足が進む。目にも鮮やかなあの赤があたしに勇気とアイディアをくれるようなそんな気がしたんだ。


ザッザッと草履が地面にこすれるような音がする。この角を曲がれば目の前に赤が映るはずだと少し大きめに一歩を踏み出すと予想外に見えたのは深い緑と赤、そして同時に体に衝撃が。



「ぅぶっ!!」



顔面で何かを真正面から受けてしまって反動で思い切りお尻を地面に打ち付ける。反射的に手も出したものだから手のひらが砂と小さな石でヒリヒリと痛んだ。


くっそう、いったいなんなんだ!乙女にぶつかるなんて!あたしも前方なんとなく不注意だったから同罪だけどもっと前見てくれよ!理不尽だってわかってるけど朱里ちゃん怒っちゃうぞ!


キッと睨んでみるもののそれはすぐに丸くなった。



「え、清二さん?」


「朱里さん…」



ぶつかったのは清二さんで、しかもその目は真っ赤だった。しかも声ちょっとだけ掠れてる?いきなり知っている人がこんな状態だったら怒りよりもまず疑問でしょ。



「えっ、ほんとどうしたんですか?」



慌てて立ち上がってはみるものの清二さんに対してどうすればいいのかわからずあたふたと無意味に手を閉じたり開いたり。あぁっ、あたしのあんぽんたん!ぜんっぜん役に立たないんだから!!


こういうとき茜だったら慰めるなり励ますなりうまくやるのに…自分が不甲斐ない。