あるところに小さな村がありました。そこは本当に小さな村で食べるものも少なく、みんないつも空腹と戦っていました。


そんな村で一人の女の子が生まれました。その子はとても美しい黒髪と容姿をしていましたがただ一つ不気味なところがありました。そう、その子は生まれながらに血のように赤い瞳を持っていたのです。


村の人はもとより、その女の子は実の両親からも気味悪がれて恐れられてきました。


食べ物の少ない村、生まれてきた子どもの中には間引かれた子もいましたが、赤い瞳を持った不吉な忌み子を果たして間引いてもいいのだろうか。殺したことでこの村に禍が降りかかるのではないか。それともこのまま命を奪うべきなのか。


結論は出ることはなく女の子は殺されずに済みましたが、女の子の赤い瞳を恐れて村人もその子の両親も不用意に近づくことはありませんでした。


自分の姿がみんなに嫌われていることを分かっていた女の子でしたが、それでも誰かと触れ合いたくて、話がしたくて、視線を向けてほしくて。


女の子は自分から年のあまり変わらなさそう子に近づきますが、向けられるのは女の子の望んだものとは正反対のものでした。


触れようとすれば払いのけられ、話をしようとすれば罵倒され、視線を向けられてもまるで汚らわしいものを見るような侮蔑の視線を浴びせられ。


最終的にはそこにいるというだけで石を投げられて女の子は傷だらけになって泣きながら帰るしかありませんでした。