彼岸の杜




案の定居間に顔を出したのはじーさま。合っていたことに内心ガッツポーズをするけど、毎回のことなのでそこまで喜ぶことじゃない。



「お父さん、やっぱりまた二日酔いで起きれてないんだ……」


「ふふ、弱いのにいつも飲みすぎちゃうんだから」



そんなところがかわいいんだけど、と頬を染めるお母さんには同意できない。あたしには分からない考えだわ。



「お母さんはお酒強いよね。じーさまの遺伝?」


「かしらねぇ」



じーさまの様子はいつもと変わらない。多分また強いお酒の飲み比べでもしていたんだろう。


それなのにあたしってじーさまが酔ったところ見たことがないんだよね。どれだけ飲めるのか気になるけど、さすがにじーさまで実験するのは恐ろしい。



「おはよ、じーさま。昨日の飲み比べも勝ったの?」


「うむ、楽勝だったわ」



本当にしてたんだ、と思いながら「よかったね」と返しておいた。


朝ごはんをテーブルに並べて3人でごはんを食べる。そのときはテレビをつけないのがうちのルール。


他の家から見たらあたしのところはいろいろおかしいっていうか、古めかしいらしい。そう思うところも確かにあるけど、大体のことはもう慣れだからな。


性格とか考え方とか、そういうのは遺伝より環境の方が影響受けるみたい。なんか前に紗季が言ってた気がする。