「 こちら、放課後生徒相談部! 」

「あの、…董子センパイはどういったご用件で」


アタシがこの空気の中、勇気を振り絞って董子センパイに尋ねる。

すると董子センパイは、ああと思い出したように手を合わせると一つ息を吐いた。
 
「私がここに伺ったのは、――恋を叶えて欲しいからです」


「「…恋?」」

アタシと綾人センパイが声を揃えてしまって、董子センパイはそれを上品にくすくすと笑った。
アタシが顔を赤くしている中、冷静な綾人センパイ。すぐに笑顔を作り直すと、穏やかなトーンで言う。


「断ります」

「え」

空気がまた凍り付く。

董子センパイなんて、口が開きっぱなしで折角のお嬢様感が台無しな状態。

この時ばかりは、アタシは綾人センパイを睨んで眉にしわを寄せる。


(ちょっとおお!!!!!綾人センパイ!!!!!!!!!!!!)