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私は初めて歩く江戸の町に胸が弾んでいた。



そして私は気付いた。



宗次郎君がいない事に。




「ったくアイツはいつも!おい雪!お前はいなくなんじゃねえぞ」



「う、うん」



宗次郎君はいつもあんな感じなんだ…。



あ、あんなところに…。



私は歳さんの着物の裾をチョンチョンと引っ張った。




「あ?どうした?」




「あそこ…」




私が指差した場所は甘味処でお団子を頬張る宗次郎君が。




「んの馬鹿野郎が!!!雪、付いて来い!!」




「う、うん!」



宗次郎君の姿を捉えた歳さんは鬼の如く目を釣り上げ、着物の袖を捲ると甘味処へ走り出した。



「こんのクソガキが!!!こんな所で何してやがる!!!」



ガコンッ




「い"った!何ってお団子食べてるんですよ。何か文句ありますか?」




ガコンッ




「い"った!すぐ手を挙げる癖直した方が良いですよ!!!」



「うるせえ!!大体この団子代どうすんだ!!こっちは雪の着物代しか持ってねえんだ!!」




「僕は歳さんと違って貰ったお小遣いはすぐ使うんじゃなくて少し貯めておくんでお団子の代金くらい自分で払えますぅー!」




「ガキが生意気に何言ってやがる!!」