私は宗次郎君と歳さんを探しに廊下を走り回っていた。


すると縁側の方から2人の声が聞こえてきた。





「何で歳さんの方がお団子一本多いいの!?」


「俺はお前より大きいからお前よりも沢山食べなきゃいけねえんだよ」



「そんな事ない!僕は今成長途中だから歳さんよりも沢山食べるべきだ!」



「うるせぇ、うるせぇー!」





非常に声を掛けにくい。



だが、意を決して2人に声を掛けた。




「あの…!」




私が声を張り上げると2人は驚いたようにこちらに目を向けた。




「あぁ、さっきの嬢ちゃんか」



「あ、近藤さんに雪と言う名前を貰ったの」



「そうか、良い名前じゃねえか。良かったな」



「うん。それで…近藤さんからお金を貰って、歳さんと宗次郎君を連れて着物を買ってこいって言われたの」




「またお使いかよ…」




「ご、ごめんなさい」




「あー!歳さんがお雪ちゃんいじめたー!」




「馬鹿っ!変なこと言うな!しょうがねえな、ほら行くぞ!」




「うん」




歳さんは面倒臭そうに立ち上がると歩き出した。




「歳さんって見た目は怖いけど凄く優しい人なんだ。だから怖がらないであげてね」




「…うん!」