ほら、宗次郎は出なさい!と言いながらおふでさんは彼を部屋から追い出した。



「着るの手伝ってあげるわね」



「……ありがとう」



私はおふでさんに初めて笑顔を見せた。



「そうやって笑いなさい」



「え?」



「辛くても笑うの。そうすれば自然に良いことが起こるようになるから」



「良いことが…」




「そう。でもどうしても笑えないときは思い切り泣きなさい。でも泣くのは本当に、本当に辛いときだけ」




「…うん!分かった!」



「よし、次は髪を結いましょう」



「うん!」



「貴方の髪は綺麗な黒髪ね」



そう言いながらおふでさんは私の髪を櫛で梳かしてくれた。



「はい、出来た!」



「ありがとう、おふでさん」



「どういたしまして。じゃあ周助さんのところに行きましょう」




「周助さん?」




「そうよ。ここで一番偉い人で私の夫なの」




「分かった!」