そして門に着くと勝太さんと土方さんが泣きじゃくる子供を宥めていた。



「山南さんを返せっ!!山南さんは北辰一刀流の者だ!!!山南さんはこんなオンボロ道場嫌なはずだ!!きっと山南さんだって帰りたいんだ!!お前らが閉じ込めてるんだ!!!」



「弱ったな〜」



「男が泣いてんじゃねえっっ!!!それに山南さんは自らこっちに来てんだ。俺らが閉じ込めてるわけじゃねえ!!」




慌てふためく勝太さんと子供だろうと容赦しない土方さん。




「平助っっっ!!!」




「グスン…山南…っ……さぁぁぁあん…っ…!!!」



男の子は山南さんの姿を捉えると、山南さんの腕目掛けてダイブした。




「ゴフッ」



「ねぇ雪、あの子…」




「うん、多分彼は…この間私と試合をした藤堂平助だと思う」




この間試合した彼と同一人物とは思えないほど今日の彼は幼く見えた。




「ねぇ、貴方はこの間私と試合をしてくれた子よね?確か…藤堂君?」




男の子はゆっくりと山南さんの腕から顔を上げた。



すると突然山南さんから離れたかと思うと照れ臭そうに、そして堂々とした顔つきになり、私の前に立った。



「俺、藤堂平助。お前の名前は確か…」




この子は口のきき方がなってないなと思ったのは雪だけではないだろう。



その証拠に山南は雪に苦笑を浮かべた。



「初対面の人にお前は失礼じゃない?私の名前は近藤雪。よろしくね」





「僕は沖田宗次郎。よろしくね、藤堂君」




私達が自己紹介をすると藤堂君は本来の目的を思い出したのか、急に表情が険しくなった。