山南さんが試衛館の門人となって早2週間が経った。



最初は緊張してまともに話すことが出来なかったが今では私も宗次郎も山南さんを兄の様に募っていた。




「山南さん!私に稽古をつけて!」




「雪ずるいよ!昨日もつけてもらってたじゃん!山南さん、次は僕ですよ!」




「あはは、困ったな〜。じゃあ昨日は雪の稽古をつけたから今日は宗次郎につけてやろう」




山南さんはいつもみんな平等に接してくれる。




子供だからといって蔑ろにしたりもしない。




だから私も宗次郎も早く懐くことが出来たんだ。




庭で稽古をしている山南さんと宗次郎を縁側に座って眺めながらそんな事を考えていた。




すると突然、静かだった試衛館の中が騒がしくなった。




「源さん何かあったの?」




丁度私達の前を通った源さんに聞いてみた。



「あぁ、何でか門の前で子供が暴れているらしい」



そう困ったように笑った源さん。



「子供…もしかして……」



「山南さん?」



山南さんは私達を置いて門前まで走って行った。