「君どうしたの?一人なの?」



見知らぬ街を一人彷徨っていると私と同じ位の年の男の子が声を掛けてきた。



「僕は沖田宗次郎。君は?」


「私…は……」






「おいコラ宗次郎ぉぉぉぉぉお!!!」





返事に困っていると男の人が物凄い形相で宗次郎君の名前を呼びながら走ってきた。



「うわ!歳さん!!」



「お前勝手にいなくなるな!!」



「ごめんなさ〜い!」




全く謝る気なんてなさそうな宗次郎君に思わず笑みが溢れた。



「あ?お前誰だ?一人なのか?」



私に気づいた彼は私と同じ目線になるようしゃがむと優しく問いかけてきた。




そしてコクンと小さく首を縦に振った。




「そうか…。俺は土方歳三。名前は?」




「……分からない…」




そう答えると彼、土方歳三は困ったように顔を歪めた。



「それじゃあ住んでた場所は?親は?」


それも分からない、とフルフルと顔を横に振った。


「つまり記憶がねえってことか。仕方ねえ、勝っちゃんとこでも連れてくか」




「この子連れて帰るの!?」




土方がそう言うと宗次郎君は嬉しそうに目を輝かせた。




「ここに置いて行くわけにもいかねえだろう。嬢ちゃん、着いて来な」




「…うん」