「最初は平晴眼。天然理心流の基本の構えで天然理心流を修得する者は最初にこの剣技を修得しなければならない。左の肩を引き右足を前に半身に開いた平青眼の構え」



「…こうですか……?」




一生懸命 周助の説明と手本で平晴眼の構えを取る雪。




「そうだ。そして刀を右に開き、刃を内側に向ける」


後ろから雪の腕を掴み、一緒に前へ突いた。



「わぁ……凄い……」



「通常、突きと言うものは外れると後が無い危険な技とされているが、この構えで攻撃を行えば、仮に突きが外されてもそのまま刀を振って相手の頚動脈を斬りに行く事が出来る」


「っ…頸動脈…!」


サーッと青ざめながら首を抑える雪を見て笑うと頭をポンポンと撫でてー繰り返し練習しなさいとだけ言うと周助先生は他の門下生たちの方へ行ってしまった。




それから私は毎日剣術の稽古に励んだ。




おふでさんのお手伝いをあまり出来ないのは少し申し訳ないけどやると決めたからには一生懸命にやる。



雪は幼いながらも強い意志を持っていた。




「あの子はもしかしたら宗次郎並みに強くなるかもしれん。これは期待できるな」





周助がそんなことを思っていたなんて、今はまだ誰も知らない。