源さんとの話を終えると、次は宗次郎の元へ向かった。



「宗次郎!手拭い持って来たよ!」



「ありがとう」



汗を拭う宗次郎の横顔をジッと見つめると視線に気づいた宗次郎が首を傾げた。




「ねぇ、私も剣道…やってみたい」



「へぇ、いいんじゃない……って、えぇ!?」




「剣道をやってるみんなは…凄く楽しそう」



「で、でもね雪、剣道は男がやるものだから…」




「まぁ良いじゃないか宗次郎。やりたいと言ってるのならやらせてみよう」




周助先生からお許しが出た雪は目を輝かせた。



「いいかい、雪。天然理心流とは、日本の古武道の流派。剣術、居合術、小具足術を含み、その他柔術、棒術も伝えた総合武術だ」




「そうごう…ぶじゅつ……」





「そう。開祖は江戸時代後期の遠州浪人近藤内蔵助長裕。流派としては、気をもって相手の気を奪い、すかさず技を施すのが特徴だ。稽古は同じ型を繰り返す型稽古。型稽古は正確迅速な足さばきを基盤とした体捌きと、これに同調する剣捌きの両方を取り持つ『気・剣・体』の一致を生み出す。そして、型稽古に習熟する秘訣は、力まず、教えられた通りを素直に受け入れ、根気よく反復する事である。よって、竹刀での試合には弱いが、実戦には強い」