もう二度と大好きなたまに会えないかもしれない、と思うと視界が一気にボヤけた。



「……そう、だよ。だから……たまはもう寝なさい。ね?」




ポタポタと涙を流す雪を不思議に思いながらも、たまは雪のことを小さな腕で抱きしめた。



「うぅ…たま……」




雪もたまをギュッと抱きしめ返した。




しかしいつまでもここにいてはみんなにバレてしまう。



雪はたまを放すと部屋へ背中を押した。




「たま、元気でね。大好きだよ」




「ゆき、いってらっしゃい」




ぶんぶんと手を振るたまに背を向けて雪は試衛館を後にした。