* みんなが寝静まったであろう夜更け。 私は荷物を纏め、一君が用意してくれた黒い袴を身に纏い、髪を一つでくくった。 そして自室の文机に置き手紙を残すと静かに部屋を抜け出した。 グイッ 忍び足で廊下を歩くと袴の裾を何かに引っ張られた。 恐る恐る振り返ると、眠たそうに眼を擦るたまがいた。 「ゆき、おしゃんぽ?」 どうやら散歩に行くと思っているようだ。