「馬鹿だね、雪。こんな姿になるまで一人で抱え込んで」
おミツさんの言葉に押さえ込んだ涙がまた溢れ出した。
「何をしても…何を見ても…全ての箇所に総司達との思い出があって……っ…、寂しいよ…」
「うん。分かるよ」
雪を抱きしめたまま、何度も頭を撫でて話を聞くミツ。
その姿は本物の姉妹のようだった。
「それに…私ってば……最後まで総司に冷たい態度をとって…っ…、総司の事を怒らせて…許してもらえないまま京に行っちゃった…。総司に…っ……きっと嫌われちゃった…」
嗚咽を漏らしながら一生懸命話す雪につられてミツも涙を流した。
「総司の心情は分からないけど、確実に嫌いにはなっていないわよ」
「……そうかなぁ。結構酷い態度をとってたんですけど…」
後ろ向きな私の発言におミツさんは「ふふ」と上品に笑った。
「あの子は優しい子だから。雪に冷たい態度をとったのには理由があったのよ」


