気づいたら空は既に藍色に染まり、半月が登っていた。
「たま、そろそろ戻ろうか。お腹すいたでしょう」
たまを抱き上げて室内に戻るとちょうど食事が並べられていた。
みんなが揃い、静かに食事が進む。
ゆっくり食べていても誰もおかずを盗まない。
カチャ
「ごちそうさま」
ご飯を少しと魚とお味噌汁を一口ずつだけ食べて箸を置いた。
「雪、あれだけ稽古をしたのにそれしか食べないのかい?」
そう言われ、頷くと周助は眉間に皺を寄せた。
「このままだと倒れてしまうよ。もう少し食べなさい」
「今のところ元気だから大丈夫だよ。おやすみなさい」
話を早々に切り上げると雪は寝る支度をして部屋の前の縁側に座っていた。
みんながいなくなってから一月ほどしか経っていないのに、四人で布団を敷いて寝ていたのが懐かしく感じる。
「私一人にこの部屋は広すぎだよ」


