外に出てすぐのところでは桜の木が満開に咲いている。
そう言えば昔ここで総司とよく木登りしてたな。
お使い帰りのおふでさんと遭遇してしまった時は大目玉を食らったけど。
昔を懐かしむかのように雪は桜の木を撫でた。
ヒラヒラと風に舞う花弁を1つ捕まえた。
「私もお前みたいに風に任せて飛んで行きたい」
ボソッと呟くと花弁を掌に乗せ、風に踊らせた。
「お雪!!」
私達の行きつけだった甘味処を通り過ぎ、先を進もうとすると甘味処の女将に呼び止められた。
ゆっくり振り返ると女将は私の両肩に手を乗せて心配そうに顔を覗き込んだ。
「あんたご飯ちゃんと食べているのかい?」
そう問われ、雪は苦笑を浮かべた。
みんなが試衛館から出てから雪はまともに食事を取ろうとしていなかった。
「ダメじゃないかちゃんと食べないと。お雪、自分の姿見たかい?これじゃまるでドクロじゃないか」
「心配かけてごめんね。でも私元気だから大丈夫だよ!またね」
「ちょ、まだ話は終わってないよ!全く…」
女将の制止も聞かず、手をヒラヒラと振ってその場を離れた。


