食事処からの帰り道。



「近藤先生、今日は連れ出してくれてありがとうございました。僕、女将さんの言葉を聞いて分かったんです」



突然そんなことを言い出した総司を勇は訝し気に見た。



「雪にはたくさんの人が周りにいてくれます。今は辛いかもしれないけど…直に僕達の事は忘れて前を向いてくれるはずです」



雪は強いから、と総司は今にも泣き出してしまいそうな顔に無理矢理笑顔を貼り付けて言った。



「お前は本当にこのままで良いのか?」



「はい。雪が僕を嫌いなまま別れた方が雪の悲しみは半減されるはずです」



勇は総司に何もしてやれない己が情けなくて拳をきつく握りしめた。