「お待ちどうさま。天ぷらそばと鯖の味噌煮定食ね」



呼吸を整えていると女将さんが料理を運んできてくれた。



「総ちゃんも勇さんも浪士組に参加するんだって?寂しくなるねえ」



「そうなんですよ。女将さんの美味しいご飯を食べられるのも今日で最後です」



「そうかい。ならこれは餞別ってことで私の奢りね!」



近藤先生と女将さんの話を右から左に聞き流しながら雪のことを考えていた。



「お雪は大丈夫なのかい?」


「いやぁ、それが…」



女将の言葉に勇は「ははは」、と乾いた笑みを浮かべて濁した。




それに女将は「それもそうよね」と一緒に苦笑した。




「まぁお雪にはふでさんやつねさんに私達だっているんだから大丈夫だよ。心配しないで行っておいで」




逞しい女将の言葉は総司の胸の中のモヤモヤを増殖させた。