賑やかな朝餉も終わり、お使いに来た雪。




「えーっと、お魚と株と卵と後は…何だっけ?確か野菜だった気がするんだけど…ブツブツ」



「何一人で念仏唱えてんだよ」



「うぇっ?あ!歳さん!!」



にょっと後ろから湧き出た土方に思わず変な声が出た。


「よう、お使いか?」



「そう!歳さんは?」



「薬売りに来たんだ」



「そうなんだ〜。頑張ってね!」



「おう。今日も行くからな」



「うん!待ってるね〜!」



「あ、待て!」



「ん?」



「お前にもこれやるよ」




土方に渡されたものは




「石田散薬?」




薬だった。




「そうだ。打ち身、捻挫によく効く薬だ」




「へぇ〜。ありがとう!」




「おう。気をつけて帰れよ」




「うん!後でね〜!」




土方と別れて少し経った時だった。




「うぇ〜〜〜〜〜〜〜ん!!」




子供の泣き声が聞こえて来た。




私は何事かと思い子供の泣き声を頼りにその場へ行くと、1人の武士と思われる男が親子に向かって刀を向けていた。




「申し訳ありません!弁償しますのでどうかお許し下さい!!」




「それじゃあてめぇら親子の命で弁償してもらおうじゃねえか」




よく見れば男の着物には豆腐が付いていた。




「そんな!どうかこの子だけは助けてください!!」




「はっ。俺はそんな優しいやつじゃねえんでな」





信じられない。




武士ともあろう者がか弱い女、子供に刀を向けるなんて!



ふつふつと怒りが湧いた雪は武士の元までガスガスとガニ股で歩いて行った。




「ちょっと!」