男の拒絶を丸無視し地面に膝をつけ、問答無用で太腿に手をかざすと強い光が放たれた。



みるみるうちに傷は塞がり、光も静かに止んだ。



「な、何なんだこれは一体!!」



地面に置いていた荷物を全て持つと雪は立ち上がった。




「もし良かったら家に来ませんか?随分とお疲れのようですし」



「いや、しかし…」



「追われているのでしょう?」




渋る男にそう問うと押し黙った。



「私の家は天然理心流試衛館っていう道場なんです。そこで少し休まれてください。怪我を治したのだからそれくらいのお願い、聞いてもらっても良いですよね?」




「……………何故俺にそこまで親切にする」




不思議そうな顔をして問われた。



何でだろう。


周助先生や勇さんのお人好しが移ったのかな?




思わずクスッと笑うと訝しげな視線を向けられた。



「理由なんてありません。ただ、困っている人を見たら放っておけない性格なので」