鱚は買ったからあとは八百屋でかぶを買うだけね。




ドンッ



頼まれたものを確認していると突然肩に男がぶつかってきた。




その男はぶつかると膝を地面についた。




「だ、大丈夫ですか?!」



「済まない、少し怪我をしているだけだから大丈夫だ」




男はそう言うと早急に立ち去ろうとしたが雪は咄嗟に着物の端を掴んでいた。




「何をする?!」


「こっちに来てください!!」




警戒心丸出しの男を無理やり路地裏に連れ込んだ。



「どこを怪我しているんですか?」



「お前に話す必要はない」




あまりの拒絶っぷりに思わず溜息を吐きそうになるが、男の太腿付近の袴が赤黒く染まっているのに気づいた。




「すいません、ちょっと失礼します」




「っ!触るな!!」