わたしが彼を好きな理由【短編】





一人暮らしの彼の、整頓された部屋とか、
デートはいつも、遅れずに来てくれるところとか、
悲しいことがあって、わたしが泣いていると、そっと頭を撫でてくれるところとか、
くだらないことを言っても、バカにせずに真剣に話を聞いてくれるところとか、
たくさんマグカップがあるのに、わたしとお揃いのを使ってくれるところとか、
笑ったときにできる目元のしわとか、
骨ばった手とか、
さらさらしたほっぺとか、
そういうの全部が、好きだなあ、と。






たぶん、槙田くんを好きになったときに、わたしの理想の彼氏像は、どこか遠くへ飛んで行ってしまったんだと思う。