優希はそのノートを手に持った。
一つずつ、一つずつ、それを壁に投げた。
バンッ、バンッ。
何度も投げられるノートは壁にぶつかって、だらしなく床に落ちる。
シネ。
キエロ。
キモイ。
沢山の言葉が床に落ちていった。
優希…?
優希の目を見ると、優希の目が変だった。
今の、優希の目には何も映っていない。
きっと…。
優希は虚ろな目をして、ただ、ノートを投げていた。
優希!!!
その時だった。
「クソっ!!!!!!!」
優希が叫んだ。
優希…。
何もできない。
私は何もできない。
私は…。
優希は立ち上がって、着替えを持って出ていった。
きっとお風呂に入るんだろう。
優希の虚ろな目が私の頭から離れない。
優希の苦しそうな背中が頭から離れない。
優希のノート。
優希のカバン。

