(短編✴︎)くらことゆうき




光が眩しくて目をつぶる。


光が止んだ。


目を開けると。


あ…。

優希の足が見えた。


上を見上げると優希が泣いていた。

優希は下を向いた。



私はクラゲに戻っていたのだ。



その時、


優希の手が私に向かって伸びていた。
温かい手が。

私を手ですくおうとしていた。




その時だった。





海の波が私をさらった。




波にのまれ、私は彼から遠ざかって行った。



彼の手に触れられそうだったのに。




やっぱり一生会えないんだと。




神様は意地悪だなあ。




「くらこ!!!!!」


波にのまれながら、彼が叫ぶ声が聞こえた。


優希の声だ…!


最後に聞かせてくれてありがとう、優希。




私は海に負けないように




クラゲの涙を流した。