優希…。どこ…?
私は必死で優希を探した。
はじめて外に出た。
一つ息を吸った。
息をするというのはこんな感じなんだと思った。
息をするのは自分が生きてる実感が最も沸く気がする。
小鳥の声がした。
道路に出る。
とりあえず走った。
優希…!!
しばらく走ると、海岸沿いに出た。
あの場所…。
あの場所は…。
一つの大きな岩が突き出た海岸。
あの場所は、私と優希が出会った場所だった。
『クラゲだ!!!』
そう言って私を優しい手でつつんだ彼。
連れて帰るなり、水槽の中に入れられた。
『僕は優希。君は…えっと…くらこだな!!』
そう言って優しい笑顔で私に笑かけてくれた。
『くらこ!くらこ!』
私を呼ぶ声。
優しい声。
そんな思い出が私の頭の中を巡った。
「…あれは…。」
あの突き出た岩に座っているのは…。
「優希だ…!」
私は思い切り走った。

