「いって来ます。」
次の日、優希は学校へ行った。
よかった…。
綺麗に磨いたカバンも持って行ってくれて、嬉しかった。
今日は青空だった。
窓から大きな雲が見えた。
綺麗だなあ。
大好きな優希。
…あれ。
涙か溢れて来た。
…そうだ。忘れてた。
今日は、お別れの日だ。
優希が私を海に返す日。
涙がとまらない。
伝えられない。
優希に、水槽の中の方がいいって伝えられない。
あと一回、人間になれるのに、私が人間になったことがバレるとだめなのだ。
一生一緒にはいられないんだ。
優希の部屋にいられる最後の日。
優希の部屋をしっかり目に焼き付けなくっちゃ。
私はそんなことを考えながら、お日様に照らされて気持ち良く漂った。