(短編✴︎)くらことゆうき




痛い…。

腰をうった。

ん?

思わず自分に『手』が、あることに気づいた。

なにこれ…!!

目の前にあるのは小さな水槽。

これは…。

これは私の水槽?!!

私は優希の部屋の床に座っていた。

人間になったんだ!!

私は急いで優希の部屋の中にある鏡の前に行こうとする。
「うわっ!!」
立とうと足に力を入れるが転んでしまった。
歩くのってこんなに難しんだ…。

私はゆっくり立ち上がった。
ゆっくり足を前に出した。

歩けた…。

ゆっくり歩きながら鏡の前に立った。


長くて黒い髪の毛。
つややかな人間の肌。
桜色のほっぺ。
白くて長い手。
水色のワンピース。
頭にワンピースと同じ色のリボンをつけていた。

女の子だ。

私…女の子だ!!


嬉しくなって笑った。
自分の笑顔をはじめてみた。
とても居心地がいい。

私はその場でくるくる回った。

でも、ハッとする。


そうだ…あと一時間しかないんだ。

私は、優希になにができるだろう。

そう思うと私の視界に落書きだらけのカバンが映った。