「クラゲだ!!!」
やめて!!!
来ないで!!
私は身動きができなかった。
岩と岩に引っかかって動けない。
男の子がこっちに向かって走ってきた!!
来ないでよ!!!
お爺ちゃんから教わっていた。
『人間は自然を破壊する超危険生物。近づくんじゃない。』
だから!
だから来ないで!!
私は叫んだ。精一杯。
でもそれが男の子に伝わるとは思えなかった。
「クラゲさん。僕が助けてあげるからね。」
男の子は私を両手で受け止めた。
なんでだろう。
私は男の子の手の中で安心してしまいそうだった。
温かい手。
私は人間に捕まってしまった。
とても温かい手の中で。
海の波の音と暑い日差しのさす海岸。