美咲が戻ってから1週間


毎朝、美咲に起こされ


一緒に飯を食い


美咲に見送られて仕事に行く




美咲は悪阻がないようで


お袋と出かけたり


庭でのんびり本を読んだりしてる




ある晩


『美咲…話がある』


「なに?雅樹」


俺の横に座る



『祝儀をしようと思う』



「祝儀……」


俺が結婚したことは

傘下の組や

盃を交わしてる組には

通知がいってる……


だからって、祝儀をあげないわけにいかない…



俺が桐生組の若頭だから。


けど……


美咲のことを考えたら

少しだけ躊躇する。



「私は大丈夫よ」


「私をよく思わない人もいるでしょう」

「けど、私は桐生雅樹の妻ですから」


そうクスクス笑う



『美咲……すまない……』


「え?なんで謝るの!」

「あ、違うよ!何かあっても、雅樹が助けてくれるでしょ。だから大丈夫」



美咲…

なんか、強くなったな…


「やっぱり和服よね」

「白無垢、着れるなんて夢見たい」



『ダメだ!お腹の子に障るだろ』


「え?大丈夫よ」


『だめだ!』


「極道がウェディングなんて聞いたことない!」


『…そうだけど、美咲の腹には子供がいんだろ…』


「嫌よ、ドレスなんて」


『美咲!』


「嫌なものは嫌!」


『はぁー…俺はお前を心配して…』


「その私が白無垢って言ってるの!」



美咲は絶対折れない




『わかったよ…』



結局、俺が折れた…




尻に惹かれてんだな…