「返してもらうぞ」
「ひっ」
人を凍りつかせるんじゃないかと思う程に、低く冷たい声色でそう言った目の前のその男は無遠慮に私へと手を伸ばしてきた。
その手には酷くどす黒い魔力が込められていて、私の身体が仰け反ってしまう。
「面倒をかけるな」
怒気を放つその男の手が、私の額へとグッと一気に伸ばしてきた。
キンッ---
額に触れた青白くほっそりとした、どこか神経質な手が氷の張るような音と共に弾かれた。
黒いローブでいまいち顔は見えないけど、でもすぐに私の額に触れたその手を凝視している事から驚いた表情をしているのは分かる。
私もビックリだ。
まるでその男の手を敵と言わんばかりに弾き返したのだから…
「お前は…」
手を暫し見ていたその瞳が私へと向けられる。
そして強く私を睨みつけてきた。
まるで憎々しいとでも言っているかのように…
しかしその表情は私の顔をジッと見ているうちに、みるみる変化していく。



