「…怖い」
私の口から漏れ出た小さな声は、会場にいる子供達の声にすぐに掻き消えた。
だから隣に座るセシリーには聞こえなかったようだ。
ホッと息を吐く。
それでも今だ炎にのまれた感覚が呼び覚まされて、身体が微かに震えた。
あんな苦しい思いをまた、しなくてはいけないの?
あの時嗅いだ胸が焼け付く様な熱い煙が私を纏う感覚に、苦しくなる。
思わず、口元に手を当てた。
「大丈夫?」
「……うん」
それに気がついたセシリーが心配そうに私の顔を覗き込む。
私の笑顔を見たセシリーは、ジッと考え込むように少し眉を寄せる。
そして一拍置いてからコクンと頷くと同時に、会場が徐々に暗くなってきた。
これから始まるのだろう---
セシリーが前を向いたのを見届けてから、私も前を向いた。
呼吸が…、まだ乱れている。



